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大阪地方裁判所 昭和40年(手ワ)959号 判決 1965年10月25日

理由

原告の被告永野長次郎に対する請求原因事実は、同被告においてこれを自白したものとみなすべきである(民事訴訟法第一四〇条)。

次に、被告永野長一に対する関係において、《証拠》によればイ 原告は、「金額・一、〇五七、三八一円、満期・昭和三九年一一月一五日、支払地・大阪市、支払場所・株式会社三菱銀行難波支店、振出日・同年七月一四、振出地・大阪市」と記載してあるほか、手形表面上左記図面に示すとおりの関係位置に各手形当事者の表示がなされた約束手形一通をかつて所持していたこと、

ロ その後原告から稲畑産業株式会社に、同会社から白地式で取引先銀行に順次右手形の裏書交付がなされ、同銀行において、この手形を所持人として昭和三九年一一月二〇日手形交換所で支払担当者に呈示し、支払を求めたが、支払を得られなかつたこと、

ハ そこで右手形は、前示銀行から稲畑産業株式会社に返還され、同会社においてさきの白地式裏書の被裏書人欄に原告名を記入した上、さらに原告に返還され原告が現にこれを所持していること、

ニ 右手形に表示してある株式会社豊中新建材セソターという会社は、実在せず、被告永野長一がこうした会社名を用い個人営業をしているのであつて、同被告は、この手形についても個人の資格で署名したものであること

が認められる。

以上認定事実によれば、本件約束手形上被告永野長一の表示が振出人としてなされているとは認めることができないから、原告の同被告に対する手形振出を請求の原因に掲げた首位的請求は、理由がないものであり、棄却を免れない。

しかし被告永野長一は、本件手形につき振出人の被告永野長次郎のため保証をなしたものと認めるに十分であり、被告両名は、原告に対し、各自右約束手形金一、〇五七、三八一円を支払う義務があるといわねばならないから、原告の被告永野長次郎に対する請求、ならびに、同永野長一に対する予備的請求は、以上約束手形金元本の支払を求めている限度において理由があり、これを認容すべきものである。

しかし、原告の被告永野長次郎に対するその余の請求ならびに、被告永野長一に対するその余の予備的請求、すなわち前示約束手形金に対する附帯の遅延損害金の支払を求めている部分は、理由がない。すなわち原告は、本件約束手形が呈示期間経過後の昭和三九年九月二〇日支払担当者に支払のため呈示されたことにより、被告らが同手形の支払債務につき遅滞に陥つたと主張するのであるが、そもそも約束手形における第三者方払の記載は呈示期間内の呈示についてのみ意味があるものであり、呈示期間経過後にあつて手形債務者を遅滞に付するための呈示は、振出人の営業所または住所においてこれをなすべきものと解されている。それ故、本件手形についてなされた支払のための呈示は 被告らを遅滞に付する効果がなかつたものといわねばならず、右と反対の前提に立つ原告の被告らに対する附帯の遅延損害金は、これを失当として棄却すべきものである。

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